営業マン向けChatGPT: トークスキル向上などに 役立つプロンプトのコツ

営業担当者にとってトークスキルは不可欠であり、常に向上が求められます。

トークスキルを磨くには実際の相手を想定し、実践的なやり取りが必要です。

とはいえ、リアルな状況を想定するには先輩や上司など、人に頼る部分がどうしても多くなります。そういったことから、積極的に取り組めずにいた方も多いのではないでしょうか。

本記事ではChatGPTを活用したトークスキルを上げる方法を紹介します。ぜひ最後までお読みください。

トークスキルが必要な理由

営業に必要なトークスキルとは

営業担当者は自社の製品やサービスをより多くの人に届けることが求められます。

この商品に「対価を支払う価値がある」、「納得できる価格だ」と思ってもらうためには情報を的確に伝えるためのトークスキルが不可欠です。

例えば、油汚れに強い洗剤を販売したいとします。Aさんは魚焼きグリルの受け皿を洗う時の大変さを例に出し、商品の良さを伝えます。一方、Bさんは油汚れを分解するしくみや成分について詳しく説明し、商品の良さを伝えます。

どちらがより売れるでしょうか。これは相手によって変わります。家庭向けであればAさんの方が適切な説明と言えるでしょうし、相手が清掃業など成分やスペックにこだわる業界向けならBさんの説明が優位です。

このように相手が必要な情報をどう伝えるかがとても重要になります。相手が知りたいであろうことを予測し、商品の魅力を効果的に伝えるトークスキルが重要といえます。

トークスキルを上げる５つのポイント

トークスキルを上げるには重要なポイントがいくつかあります。今回はどの業界でも当てはまるような項目を例として挙げます。

他にも「アクティブリスニング（積極的な傾聴）」や「意見の伝え方」を重要視する意見もあります。ご自身が伸ばしたいスキルを追加、交換してカスタマイズしてください。

ChatGPTを使う3つの理由

まず、ChatGPTは与えられた情報を元に背景やニーズを分析し、回答を生成する能力に優れています。

セールストークという状況によって変化するような会話でも、ある程度の道筋を付けることが可能です。

次に、ChatGPTは大量の情報を学習していることから幅広い分野、業界に関する知識を持っています。そのため、さまざまな顧客に対してアプローチを探ることができます。

そして何といっても短時間で必要な情報を入手できるということが最大の魅力です。

人や書籍などから学ぶことも可能であり、有意義ではあることは否定しません。しかし、効率という面ではChatGPTがはるかに上です。

ChatGPTを使ったスキルアップ（基本編）

ポイントを絞って答えを引き出す

では実際にChatGPTに指示文（プロンプト）を出してみます。

一度に多くのことを指示するよりも知りたいことに絞って尋ねる方が良い結果が返ってきます。

まず「顧客を理解する」について具体的な例を生成してもらいます。ただし、「顧客の理解」だけでは情報が不足しているためChatGPTの良さを引き出せません。そのため相手の業種と販売したい商品の情報を追加しています。

 

回答では業界情報から予算に関する情報へと徐々に絞り込むような形で提案がありました。

事前に情報を集めるのが難しい項目もありますが、どれも準備としては妥当な内容で営業経験が少ない人にとってもわかりやすい回答です。

また、経験豊富な人にとっては準備漏れがないかという確認としても使えます。サンプルで使用した背景情報には最低限のものしか入れていませんが、情報を追加することでより具体的なアドバイスが得られます。

場面を限定、または条件を追加する

続いて、「信頼と共感を築く」と「適切な情報提供」についての提案です。

どちらもポイントの言葉だけではプロンプトが抽象的なため具体的な場面や条件を追加しています。

「信頼と共感」では「セールストークをする際に気を付けること、準備できること」と場面を絞ったことで、顧客への質問や、どんな準備をすることで信頼に繋がるかが示されています。

 

次の「適切な情報提供」については相手が抱きそうな疑問や質問を出力するように指示しました。

価格や性能など、項目ごとに可能性の高い質問でまとめられています。

どれも実践的で十分活用できる回答です。

このようにChatGPTへの指示は場面設定や条件を追加することで、より「使える」回答を得ることができます。

また、自然言語で人に話しかけるように指示できるのも大きな利点です。

テクニックそのものを引き出す

自分のセールストークをさらにレベルアップしたいという方には、テクニックそのものを尋ねることも可能です。

知識の確認や、新しい視点を得るためにも使えます。

例として心理学の知識を持つ営業担当者という役割を与え、レベルアップのために必要なことや心理学を用いたテクニックを提案するよう指示しました。

「顧客中心のアプローチ」や「希少性の強調」など全部で10個のポイントが紹介されました。

さらに、詳細をWEBサイトで調べる目的でテクニックの名前を尋ねてみました。

ファクトチェックとしてChatGPTが答えたテクニック名が本当に存在するのか、WEBで検索するとヒットしないテクニック名もありました。

しかし、追加の質問をすることでテクニックとして取り上げた理由がわかる答えが返ってきました。

SPIN話法を使ってさらに具体的に

次に特定のテクニックを使った会話例を提示させる方法です。

今回はセールストークでよく取り上げられるSPIN話法を使い、場面を指定したうえでトーク例を生成します。

プロンプトに敢えてSPIN話法の説明と書籍の著者名を明示しているには理由があります。

「SPIN話法を使ってトークを生成」と指示すると、ChatGPTが勝手にニセモノのSPIN話法を作ってしまったからです。

ある意味ChatGPTらしい動きとも言えますが、今回の目的には合いません。そのため正しい情報を引き出せるよう情報をはっきりと書き、納得のいく回答が得られました。

特定のテクニックを使う場合の参考にしてください。

ChatGPTを使ったスキルアップ（応用編）

セールストークを添削してもらう

応用編はChatGPTに実際のセールストークを添削してもらう方法を紹介します。

自分で場面を設定してピンポイントで添削するよう指示します。

以下にプロンプトのサンプルを示します。「顧客情報」など、実際の状況に合わせて変更してください。

顧客に対して敢えて失礼な言い方をし、修正されるか確認してみます。

 

ChatGPTから示された代替案では丁寧な表現にきちんと修正されてされています。

また、特定のシチュエーションを設定することも可能です。基本編で得た回答を利用して「価格に関する質問をされた際の回答」等、設定を変えて会話を添削してもらうのもよいでしょう。

音声入力の利用でよりリアルに

ChatGPTに入力する際、ぜひ併用をおすすめするのが音声入力です。

パソコンならブラウザの拡張機能、スマホアプリならマイク機能を利用してみてください。より実践的なスキルアップが期待できます。

音声入力を利用すると、句点や読点がないまま入力されますがChatGPTは意図を正しく読み取ってくれます。また、言い間違えても言い直せば後の文章を理解します。

明らかに異なる言葉で認識された場合は、送信前にタイピングで修正することで意図と異なる回答を防ぐことができます。

タイピングよりも圧倒的に早く、たくさんの文章が入力できますし、リアルに近い感覚でやりとりが可能です。また、口頭ならご自身がよく使うフレーズや間を埋める口癖のチェックにも使えます。

ChatGPTを活用する際の注意点

あいまいな指示では通じない

ChatGPTへの指示は普段話しているような言葉で十分通じます。

しかし、より目的に合った回答を得るには「何をして欲しいのか」を明確にすることがキーになります。

特に今回のようなセールストークのスキルアップでは、立場をはっきりさせることも重要です。

ChatGPTに話し方を提案して欲しいのか、それとも顧客役を演じて欲しいのかをわかりやすく書くことをお勧めします。

期待した結果が返ってこなかった場合は、立場や具体例を追加すると改善されることが多いです。

一度で諦めずにフィードバックを続けてみてください。

機密情報の漏洩には注意

非常に便利なChatGPTですが、気を付けたい点がいくつかあります。

自社、他社ともに機密情報や個人情報の入力は避けましょう。

セールストークということもあり、「より具体的な内容を求めるあまり機密情報を入力してしまった」ということがないように注意が必要です。

また、ChatGPTへ一旦送信した情報を後から削除することはできません。そのため、未公表の情報や個人情報が含まれていないか、送信前に確認することをお勧めします。

まとめ：ChatGPTをスキルアップのパートナーに

本記事では、セールストークのスキルアップ方法として、ChatGPTの強みを最大限に利用した活用例を紹介しました。

セールストークという商品や状況によって大きく変化する会話でもChatGPTなら対応可能です。また、話し方のテクニックについてヒントをもらうことや、自分のセールストークに対するフィードバックを指示するなど、さまざまな使い方ができます。

ChatGPTを専属トレーナーにしてぜひトークスキルをアップさせてください。