英文作成のためのChatGPT活用術 – 3つのポイント

仕事や勉学にとどまらず、日々のインターネットやSNS利用時など、英語を使うシーンはどんどん拡大しています。

今回は、OpenAIが開発した最強のAIチャットサービス「ChatGPT」を活用して、ハイレベルな英文を効率よく作成するポイントをご紹介します。

目次

翻訳アプリを使っても英訳がむずかしい理由

英語から日本語への翻訳は、DeepLやChatGPTで一気に便利になり、かなりクオリティの高い和訳が得られるようになりました(前回のブログ「DeepL vs. ChatGPT – 和訳における比較まとめ」参照)。

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しかし日本語から英語への翻訳は、こうした優秀な翻訳アプリやサービスを使っても問題が多いのはなぜでしょうか?

その理由は2つ考えられます。

  1. 日本語と英語の言語特性の違い

日本語では、主語や目的語が省略される場合や、「てにをは」などの助詞の使い方によって意味合いが大きく変わることがあります。

また、接続詞や語尾も非常に豊富です。そのため、文章そのものだけではなく、「行間」を読む必要性が大きくなります。

日本語は、いわば「曖昧な部分の多い長文的言語」であるといえます。

一方、意思をはっきりと伝えるために進化した英語は、最初に動詞がくるため要点がわかりやすく、他の言語に比べて非常に簡単な文法構造を持っています。

最初から箇条書きのような言語」なのです。

英語から日本語への翻訳が「箇条書きから自由に文章を起こす」作業だとすれば、日本語から英語への翻訳は「難解な長文の要点をまとめる」作業であるため、英文作成は時間がかかる上にむずかしいわけです。

特にAIは、日本語の「行間」を読むなどといったことは非常に苦手とします。

  1. 英文を評価できない

和訳の場合、生成された訳文は日本語なので、ネイティブである日本人にとって、少なくともそれが「自然な日本語であるかどうか」の判断はつきます。

しかし英訳の場合、英語ネイティブでない限り、生成された英文を客観的に評価しようがありません。これがもう一つの理由です。

ChatGPTで英文作成の「障壁」を克服する

そこでChatGPTを使って、英文作成におけるこれらの「障壁」を克服しましょう。その際のポイントは下記の3つになります。

  1. プリエディットを行う
  2. プロンプトを英語で入力する
  3. DeepLでバックトランスレーションする

1.プリエディットを行う

AI等が翻訳しやすいように、原文をあらかじめ編集する作業のことを「プリエディット」といいます。

前述のように、「曖昧な部分の多い長文的」な日本語を、最初にできる限りシンプルで明確にし、「箇条書き的な」英語に近づけるため、プリエディットします。

このひと手間をかけるだけで、仕上がりが大きく違ってきます。

①主語や目的語を補足する

例:

「会社に到着されたら、ご連絡ください」

あなた方がその会社に到着されたら、私にご連絡ください」

②語尾を明確化する

例:

「あなた方がその会社に到着されたら、私にご連絡ください」

「あなた方がその会社に到着したら、私に連絡してください

「気をつける越したことはない

「気をつける方がよい

③文章をより明確に、より短くする

例:

「人間関係を円滑にする方法の一つとして、伝え方を工夫することがあげられますが、これには同意を伝えるための相槌も含まれます」

「人間関係を円滑にする方法の一つは、伝え方を工夫することです。これには同意を伝えるための相槌も含まれます」

④より普遍的な単語に置き換える

例:

「土日になると、どこもガラガラだ

「土日はどこも空いている

2.プロンプトを英語で入力する

米国企業に開発されたChatGPTは、もともと英語の情報を学習基盤としています。

さらに、ネット上の大量のテキストデータから「言語に関する情報」を引き出し、それに基づき文章作成を行いますが、ネット上の言語別の情報の割合を見ると、圧倒的に「英語の情報」が多いのです。

そのため、ChatGPTは他の言語よりも英語が流暢です。プロンプトを英語で入力すると、その「流暢な英語」を作成するための大量の英語テキストデータにアクセスすることになります。

こうした理由から、英文作成の際は、できる限り「プロンプトも英語で入力」することをおすすめします。

その際、正確性を重視するなら、「正確に訳して」と指示します。また、元の文章が専門的な内容であれば、専門的知識を使って英文作成するようプロンプトに盛り込むとよいでしょう。

例:

「以下のテキストを英語に翻訳して」

「Translate the following text into English」

「以下のテキストを正確に英語に翻訳して」

「Translate the following text into English accurately

「以下のテキストを医学の専門知識を使って英語に翻訳して」

「Translate the following text into English using specialized medical knowledge

3.DeepLでバックトランスレーションする

そしてChatGPTが英文を生成したら、「バックトランスレーション」という手法を使ってその英文のクオリティを確認します。

これにより、英語のネイティブでなくても、ある程度まで英文を評価することが可能になります。

「バックトランスレーション」(逆翻訳)とは、翻訳が正確かどうか客観的に検証するために、ある翻訳者が訳した文書(例:日本語から英語へ)を、別の翻訳者が元の言語に訳し直す(例:英語から日本語へ)作業のことです。 

今回は「別の翻訳者」として、各方面で高く評価されている翻訳アプリDeepLに登場してもらいます。

ビジネスレターと契約書という2種類の日本語テキストを、「プリエディット」、「ChatGPTによる英訳」、「DeepLによるバックトランスレーション」したらどうなるか、以下の表で見てみましょう。

①ビジネスレター

スクロールできます
元のテキスト 今回大会長を務めることになりましたAと申します。
先生には本大会で特別講演をお願いできればと考えておりますが、いかがでしょうか?
ご多忙のところ誠に恐縮でございますが、この件の諾否につきまして、9月30日までに以下のアドレスまでご連絡ください。
プリエディット後 私は今回大会長を務めるAと申します。あなたには本会議で特別講演をお願いしたいと考えています。
ご多忙のところ誠に恐縮ですが、この件の諾否を9月30日までに以下のアドレスへ連絡してください。
ChatGPTによる英訳 I am A, serving as the chairman for this event.
I am considering asking you to give a special lecture at this conference.
I deeply apologize for reaching out despite your busy schedule,
but please let us know your decision on this matter by September 30th at the following address.
DeepLによる
バックトランスレーション
この大会の実行委員長を務めているAです。本会議で特別講演をお願いしようと考えております。
ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、9月30日までに下記のアドレスまでご決断のほどよろしくお願いいたします。

DeepLによるバックトランスレーションは、プリエディット後のテキストと非常に似ています。ということは、ChatGPTはかなりの正確性をもって英訳したことになります。

②契約書

スクロールできます
元のテキスト 甲、乙、および丙、いずれかがこの契約の条項に違反した際は、60日以上の期間を定めて書面により契約の履行を催告し、
この期間内に履行されない場合には、本契約を解除することができるものとする。
プリエディット後 A、B、およびC、いずれかがこの契約の条項に違反した際は、60日以上の期間を定めて書面で契約の履行を催告し、
この期間内に履行されない場合には、本契約を解除することができる。
ChatGPTによる英訳 If A, B, or C breaches any provision of this contract, a written demand for performance can be made,
setting a period of 60 days or more.
If performance is not completed within this period, this contract can be terminated.
DeepLによる
バックトランスレーション
A、B、Cが本契約のいずれかの条項に違反した場合、60日以上の期間を定めて書面による履行要求を行うことができる。
この期間内に履行が完了しない場合、この契約を解除することができる。

こちらの場合は、「甲、乙、および丙、いずれかがこの契約の条項に違反」の部分が「甲、乙、および丙がこの契約のいずれかの条項に違反」と訳されてしまっていますね。

そこで、「A、B、およびCのうちのいずれかが」と、より明確になるよう日本語テキストを再修正します。

スクロールできます
再修正したテキスト A、B、およびCのうちのいずれかが、この契約のいずれかの条項に違反した際は、
60日以上の期間を定めて書面で契約の履行を催告し、この期間内に履行されない場合には、本契約を解除することができる。
ChatGPTによる英訳 If either A, B, or C breaches any provision of this contract,
a written notice demanding performance of the contract may be given, specifying a period of more than 60 days.
If the contract is not performed within this period, the contract may be terminated.
DeepLによる
バックトランスレーション
A、B、Cのいずれかが本契約のいずれかの条項に違反した場合、
60日以上の期間を指定して契約の履行を求める書面による通知を行うことができる。
この期間内に契約が履行されない場合、契約を解除することができる。

すると、先ほどと若干表現は異なるものの、元のテキストにかなり近くなりました。DeepLにバックトランスレーションさせることで、こうした変更も確認することができます。

まとめ:ChatGPTとDeepLの効果的な組み合わせ

いかがでしたでしょうか?

英文作成の際、最初にDeepLではなくChatGPTを使う理由は、「正確に訳して」「専門知識を使って」といった指示をプロンプトに盛り込むことができるからです

そして生成された英文を、「自然な文章翻訳」を得意とするDeepLにバックトランスレーションさせることにより、正確さだけではなく、自然な英語であるかどうかも確認できるというわけです。

英文作成には、ChatGPT→DeepLの順で組み合わせることが効果的と思われます。

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この記事を書いた人

医療やヘルスケアを専門とする翻訳者。海外の記事や生活に役立つ活用法の紹介を通じて、ChatGPTを考える一助となれば幸いです。

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