2023年2月にChatGPTの技術を活用した検索エンジンとして発表され、利便性が大幅にアップしたBing AIに注目が集まっています。
この記事ではBing AIの特徴やChatGPTとの違い、ビジネスではどのような変化をもたらすのか解説していきます。
Bing AIとは？
Bing AIは、Microsoft社が提供する検索エンジンであるBingに新たにAI機能が追加されたものです。検索、チャット、文書や画像作成が全て 1 か所できることが大きな特徴です。
Bing AIのシステムにはGPT-4と呼ばれるチャットボットに特化した言語モデルが使用されています。ChatGPTでは有料であるGPT-4の機能を無料で使えるのはBing AIの利点とも言えます。
Bing AIは誰でも利用可能です。ただし、ゲストユーザーは1セッション当たり5ターンまでの会話制限があります。Microsoftアカウントユーザーとしてログインすれば30ターン利用できます。
利用環境は記事執筆時点ではMicrosoftのEdgeブラウザが必要となります。現在ChromeやSafariといった他社のブラウザでのテストを進めていて、今後利用可能になると予想されています。
Bing AIとChatGPTの違い
AIの話題に必ず登場すると言ってもよいBing AIとChatGPTですが、それぞれ得意な事が異なります。
Bing AIは主に事実や既にある情報に関する質問に強く、ChatGPTは複雑な会話の文脈を読み取るなど、抽象的な質問に答えるのが得意です。
ユーザーの検索結果に対して関連情報を提案するなど、検索をより便利にするために改良されています。
例えば旅行先の検索結果であれば当日の天気予報や、近くのホテルの検索候補を促すことができます。
そしてBing AIは画像を扱うことができます。この点はChatGPTとは大きく異なる点です。テキストから画像を生成したり、認識することができます。
初めての人にもやさしい
Bing AIのチャット画面を開くと、質問のサンプルがいくつか表示されています。AIの能力を活かした質問の仕方がわからない人にとっても親切なつくりになっています。
質問の種類ごとに例文があるため、ユーザーが知りたい事に置き換えて検索文を入力できます。
自然な言葉でやりとりができるようになったおかげで、ユーザは欲しい情報に効率良くたどり着けるようになっています。
また、会話のスタイルを「創造的に」、「バランスよく」。「厳密に」と選択できるようになっています。ユーザーが答えて欲しい情報の質まで指定できるため、理想の回答に近づけることができます。
最新の情報をよりわかりやすく
具体的例を挙げてみます。小旅行用のキャリーケースを買いたい場合、「二泊三日、キャリーケース、おすすめ」とGoogleで検索すると、ランキングなど複数のまとめサイトのリンクが表示されます。
リンク先に欲しい情報がなければ、元のページに戻って調べなおさなければいけません。しかし、Bing AIで同様に質問すると、小さめなら30L～40Lが妥当であることや選ぶ際のポイントも教えてくれます。
さらに、いくつかの商品とおすすめする理由を示してくれます。また、次の質問候補には「どの商品が一番人気ですか？」と表示され、ユーザーの知りたいことや疑問点を解決する手助けをしてくれます。
ユーザーはAIのアドバイスを経て販売サイトへアクセスするため、欲しい商品を見つけるまでの時間は従来より短くなると考えられます。検索のコツは不要で、人に尋ねるようにBing AIに聞けば良いのです。
文章作成もできる
Bing AIには文章作成機能もあります。カジュアルなメール用の文章やニュース原稿のような説明文など、様々な種類の文章を指定してつくることができます。
文章作成機能はブラウザ内のサイドバーにBing AIを表示させることで出てきます。ユーザーは文章に必要な最低限の情報を入力し、希望するトーンや形式のボタンを選ぶだけで文章が作成されます。
試しに「取引先への打合せ日変更依頼」メールを作ったところ、そのまま送信できるレベルの文章が作成されました。言い回しに迷うような事柄も、AIがたたき台を作ってくれることで効率化できそうです。
ChatGPTを始めとして文章を作成できるAIは様々あります。しかしソフトウェアを切り替えることなく、ブラウザのサイドバーでWEBサイトを開きながら手軽に文章作成できるのはBingAIの特徴といえます。
画像生成・認識してくれる
Bing AIにはBing Image Creatorと呼ばれる画像生成サービスを無料で利用できます。画像生成にはChatGPTの開発元でもあるOpenAI社が開発した画像生成AIでDALL･E（ダリ）と言われるシステムが使われています。
画像を生成するための専用ページもありますが、Bing AIのチャット内でも画像生成が可能です。試しに「自転車に乗って野原を走るウサギ」と指定すると十数秒後には4種類の絵が生成されました。
それぞれの画像は背景や自転車のフレーム、ウサギの毛の質感などが違っており、よりイメージに近い物を選ぶことができます。今後はイメージに合う写真やイラストを探すのではなく生成するようになるかもしれません。
さらにユーザーが入力する画像を認識し、それを元に新たな画像を生成することができます。背景追加や、角度を変えることも可能です。また、歴史的建造物の写真をアップロードして、解説を求めることができます。
まだ進化の途中でもある
生成された画像をよく見てみると自転車のフレームが不自然に離れていたり、ペダルのあたりがあいまいに描かれていたりするところがあります。全体的にはテキスト通りに表現されていますが、確認が必要です。
また、画像認識に関しても同様で、送信した全ての写真を正確に認識できるわけではありません。写真よりも入力したテキスト情報が優先される、建造物の写真の解説では間違った回答をするなどの結果が見られました。
画像生成AIのサービス自体が新しいものでもあることから、常に完璧な結果を返すことはまだ難しいようです。しかし普段使い慣れたブラウザで、手軽に画像生成AIを利用できることは画期的と言えます。
Bing Image Creatorの利用注意点
画像生成や画像認識の精度のほかに、Bing Image Creatorを利用する上で知っておいた方がよいポイントが主に３つあります。
暴力や差別、不道徳な内容の画像を生成することは禁止されています。例えば、暴力を禁止する目的であっても暴力に関する画像をリクエストすることは禁止されています。
次に、画像生成にはMicrosoft Rewardsというポイントを消費します。Bing AIで検索したりMicrosoft Storeで買い物やゲームをしたりすることでポイントが増えるシステムです。
ポイントを使い切ってしまうと画像生成に時間がかかったり、Bing Image Creatorの機能が十分に使えなくなるため注意が必要です。ポイントは画像を生成用のテキスト入力欄のすぐ横に表示されています。
最後に、Bing Image Creatorで生成した画像の利用は個人の合法的な非商業的目的に限定されています。そのため企業として営業用の資料に利用することはできません。
AIチャットが効率化を実現
自然言語でやり取りできるAIチャット機能を企業が取り入れることで、業務の効率化に期待が高まっています。将来的にOffice製品にAIが搭載される予定もあり、ますます業務とAIは切り離せない存在になりそうです。
カスタマーサービスでは顧客の問い合わせやレビューなどあらゆる情報をAIがまとめ、分析を任せることもできます。人間と違い、AIは大量のデータを短時間で処理できることを活かした使い方です。
日々の検索業務においても追加情報や違った視点をAIが提案してくれることで、より目的に合った資料やデータ収集が実現します。また要点を伝えるだけで文書作成が可能なため、作業の効率アップが望めます。
まとめ
Bing AIは今までのWEB検索の体験を一気に塗り替えるようなサービスです。自然言語で会話できることは画期的であり、初めての人にとっても使いやすさを実感できるツールです。
また、誰でも簡単にテキストから画像を生成したり、文章を作ることができるため、AIを使いこなせる人の幅を広げられるとも言えます。
これまで人が担ってきた仕事を「AIに任せられる」と多くの人が実感することで、更にAIを身近なものと考えるようになるでしょう。
今後もBing AIの新しいサービスや機能充実に期待が持たれます。
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