子どもにChatGPTを使わせるべきか?-国内編

AIの普及が進むにつれ、幼稚園から中学校までの早期教育でもAIを使用してよいのかが問題となっています。

一層使いやすくなったChatGPTの登場とともに、「子どもにChatGPTを使わせるべき?」という議論が日本内外で活発に繰り広げられています。

こちらの「国内編」では、子どものChatGPT利用に関する日本の保護者らの見解と、彼ら自身のChatGPT利用状況を、政府の対応とあわせて見ていきましょう。

目次

保護者を対象にした2つのアンケート結果

プログラミング教育に関心を持つ保護者らは

まず、小学生向けプログラミング教育事業を行っている株式会社CA Tech Kidsは、ChatGPTに関する保護者の意向を調べるため、アンケート調査を行いました。

その結果、保護者の約3割にChatGPTの利用経験があることがわかりました。

しかし、「日常的に利用している」保護者は1割未満で、大半が「名前を聞いたことがある」ものの、「使ったことがない」状況が明らかになりました。

ChatGPTを今後子どもが利用する可能性については、「積極的に利用させたい」から「不安はあるが経験させたい」までを含め、「経験させたい、使わせたい」が7割超えでした。

保護者の間でも、ChatGPTの利用がそれほど進んでいるわけではないが、子どもが利用することについては大半が前向きであり、「これから一緒に考えたい」という層も多いようです。

とはいえ、この調査がもともとプログラミング教育に関心を持つ保護者を対象にしている点は考慮する必要があるでしょう。

ChatGPT利用経験のある保護者vs.経験のない保護者

ChatGPTを今後子どもが利用する可能性については、「積極的に利用させたい」から「不安はあるが経験させたい」までを含め、経験させたい、使わせたい」が7割超えでした。

保護者の間でも、ChatGPTの利用がそれほど進んでいるわけではないが、子どもが利用することについては大半が前向きであり、「これから一緒に考えたい」という層も多いようです。

とはいえ、この調査がもともとプログラミング教育に関心を持つ保護者を対象にしている点は考慮する必要があるでしょう。

引用:CA Tech Kids、「ChatGPT」に関する保護者アンケート調査を実施 「経験させたい、使わせたい」が7割超え

ChatGPT利用経験のある保護者vs. 経験のない保護者

「子どものChatGPT利用」について、塾や習い事に関する総合情報サイト「テラコヤプラス by Ameba」が全国の小学3年生から高校生の保護者に対して行ったインターネット調査でも、「ChatGPT利用経験」のある保護者は約3割でした。

そして、「子どもの利用への不安」は、ChatGPT利用経験のある保護者では半数を下回ったのに対し、利用したことのない保護者は約7割にのぼりました。

同様に、「子どものチャットGPTの利用に規制などは必要だと思うか」という質問に対しても、ChatGPT利用経験のある保護者では約5割、利用経験のない保護者は約8割になります。

保護者自身のChatGPT利用経験によって意見が分かれています。

全体としては、7割以上の保護者が子どものチャットGPTの利用には何らかの規制が必要と考えていました。

引用:テラコヤプラス by Ameba

子どものChatGPT利用に規制が必要vs. 不必要

規制が必要と考える理由

「規制は必要」と考える保護者には、下記の懸念がありました。

  • なんでもかんでもチャットGPTに任せてしまい、思考力が低下する
  • ある程度の知識やリサーチ力がないと、チャットGPTの提供する内容の正誤を判断できない
  • 質問内容によっては、アダルトサイトに飛んでしまう可能性もあるため、厳密な年齢制限は規制として導入してほしい

規制が不必要と考える理由

反対に、「規制は必要ない」と考える保護者は「使いこなせれば非常に面白いツール」と前向きにとらえています。

一方で、「規制するのではなく、どのように利用していき、どのような懸念点があるかを知っておくことが大切」や「『こちら側が使いこなすんだ』という気持ちをもち続けなければいけない」といった見解も示していました。

引用:子どもの「ChatGPT」利用に保護者の約7割“規制必要”…「使いこなせれば面白いツール」「懸念点を知ることが大切」との声も

子どものChatGPT利用は「賭け」?

子どものChatGPT利用についてより慎重な姿勢を示すのは、東大合格を目指すAIを作る「東ロボくん」プロジェクトを主導した新井紀子・国立情報学研究所教授です。

朝日新聞のインタビューで、「(ChatGPTを)正しい知識や専門性がない子どもが使うと、その答えをうのみにしてしまいます」という危険性に言及し、「子どもにChatGPTを使わせることは、ユーチューブを使わせるのと同じ感覚」だと指摘しています。

「ユーチューブは、可能性があるけど、多くの人にとっては可能性を奪う道具」にほかならず、「自分の子どもが使ってどっちの道に行くのか『賭けをしますか』ということです」と問題提起しています。

引用:子どものChatGPT利用は「賭け」 新井紀子さんが説く親の役割

政府の対応は?

文部科学省による暫定的なガイドライン

このように保護者らの意見が分かれる中、文部科学省は夏休みを前にした7月4日、小中学校に向けて「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を発表しました。

本ガイドラインを、「主として対話型の⽂章⽣成AIについて、学校関係者が現時点で⽣成AIの活⽤の適否を判断する際の参考資料として、令和5年6⽉末⽇時点の知⾒をもとに暫定的に取りまとめるもの(⼀律に禁⽌や義務づけを⾏う性質のものではない)」としています。

その上で、⽣成AI活⽤が適当でないと考えられる例活用が考えられる例とを、以下のように具体的に示しています(一部抜粋)。

引用:「初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン」の 作成について(通知)

活⽤が適当でないと考えられる例

  • 情報モラルを含む情報活⽤能⼒が⼗分育成されていない段階で⾃由に使わせる
  • 各種コンクールの作品やレポート・⼩論⽂などについて、⽣成AIによる⽣成物をそのまま⾃⼰の成果物として応募・提出させる
  • ⼦供の感性や独創性を発揮させたい場⾯、初発の感想を求める場⾯などで最初から安易に使わせる
  • 教師の代わりに安易に⽣成AIから⽣徒に対し回答させる
  • 定期考査や⼩テストなどで⼦供達に使わせる
  • ⼈間的な触れ合いの中で⾏うべき教育指導を実施せずに、安易に⽣成AIに相談させる

活用が考えられる例

  • ⽣成AIをめぐる社会的論議について⽣徒⾃⾝が主体的に考え、議論する過程で、その素材として活⽤させる
  • ⾜りない視点を⾒つけ議論を深める⽬的で活⽤させる
  • 英会話の相⼿としてや、より⾃然な英語表現への改善に活用させる
  • 外国⼈児童⽣徒等の⽇本語学習のために活⽤させる
  • 発展的な学習として、⽣成AIを⽤いた⾼度なプログラミングを⾏わせる

各学校で生成AIを利用する際のチェックリスト

さらに、参考として「各学校で生成AIを利用する際のチェックリスト」も掲載しています。

チェック内容
☑️ ⽣成AIツールの利⽤規約を遵守しているか(年齢制限・保護者同意を遵守しているか)

  • ChatGPT(OpenAI社)は13歳以上、18歳未満の場合は保護者同意が必要
  • Bing Chat(Microsoft社)は成年であること、未成年の場合は保護者同意が必要 
  • Bard(Google社)は18歳以上であることが必要
☑️  事前に、⽣成AIの性質やメリット・デメリット、情報の真偽を確かめるような使い⽅等に関する学 習を実施しているか
☑️ 教育活動の⽬的を達成する上で効果的か否かで利⽤の適否を判断しているか
☑️ 個⼈情報やプライバシーに関する情報、機密情報を⼊⼒しないよう、⼗分な指導を⾏っているか
☑️ 著作権の侵害につながるような使い⽅をしないよう、⼗分な指導を⾏っているか
☑️ ⽣成AIに全てを委ねるのではなく最後は⾃⼰の判断や考えが必要であることについて、⼗分な指 導を⾏っているか
☑️ AIを利⽤した成果物については、AIを利⽤した旨やAIからの引⽤をしている旨を明⽰するよう、 ⼗分な指導を⾏っているか
☑️ 読書感想⽂などを⻑期休業中の課題として課す場合には、AIによる⽣成物を⾃⼰の成果物と して応募・提出することは不適切⼜は不正な⾏為であること、⾃分のためにならないことなどを⼗ 分に指導しているか。保護者に対しても、⽣成AIの不適切な使⽤が⾏われないよう、周知・理 解を得ているか z
☑️ 保護者の経済的負担に⼗分に配慮して⽣成AIツールを選択しているか

ここでも、生成AIツール利用規約である「年齢制限」「保護者の同意の遵守」が上位のチェック項目となっています。

引用:「初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン」の 作成について(通知)

まとめ:過渡期にあるのが日本の現状

子どものChatGPT利用については、保護者自身の知識や利用経験が限られている傾向が見られました。

また政府も、AI活用に関する指針があくまでも暫定的であることを強調するなど、まさに過渡期にあるのが日本の現状のようです。

今後どのように変化していくのか、注目してきたいものです。

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この記事を書いた人

医療やヘルスケアを専門とする翻訳者。海外の記事や生活に役立つ活用法の紹介を通じて、ChatGPTを考える一助となれば幸いです。

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